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「天才」とは何なのか:ミュージカル『モーツァルト!』を観て

 

諦めていた韓国版M!、まさかの字幕つきで公式配信してくれたおかげで観られました。

piakmusicalmozart.com

 

今回なんで急に日本で配信してくれたんだろう?ジュンスさんがいるからかな~~?日本でどれくらいの人が観たのかな。一日目の配信後に'황금별'和訳記事へのアクセスが跳ね上がってて、そこで実感したんだけどw何か次に繋がったりするのかしら。

しかしやっぱり決められた時間に動画を見るということがどうしても苦痛でストレスで、チケットは買ったものの一週間前から割と憂鬱だったので、今回みたいにどうしようもない理由で観られないと分かってる公演じゃないと配信を選ぶことはないかな…中川さんも古川さんも今たくさん配信公演行ってるけど全部スルーしてる。配信見るんだったら公演チケット買うもんな…まだそこまでの決心がつかないだけで。あ~~~なんでこんなに動画見るのが苦手なんだろ。配信で良かったのは、幕間で自由にトイレ行けることくらいww

 

まだ渦巻いたままの思いや印象をちゃんと言葉に出来るのか分からないけど、書き残しておこうと思う。

 

キャストスケジュール

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私は3公演パッケージ券を買って、9日17時のウンテさん回と11日19時のガンヒョンさん回を観た。どうせなら素晴らしいといろいろ話を聞くジュンスさんも観てみたかったけど、予定があって無理だったので断念。でもとにかく大本命はもちろんソヒョンさんだったので、もう充分満足なのです。

 

ソヒョンさんをはじめ、ジュノさんにガンヒョンさん、ヨンジさん、ソヒャンさん、ジュアさん、ヨンギさんなどMAファミリーがたくさんいてそれだけで嬉しくなる。配信が叶ったところでさらに欲を言えば、ソヒョンさんとジュノさんの夫婦共演回が観たかったけども!!

こうやってまたいろんな方を知って、いろんな俳優さんに出会って、いつか韓ミュのオタクになるのかな…笑

 

作品自体が初見だったこともあって、一日目はずっと「?????」状態だった。一応開演5分前に東宝のあらすじを読んで、ジュノさんの役が悪役っぽいことに驚きつつそのまま始まる…という。何より字幕を追うことの負担がかなり大きくて、ストーリーを掴んでいくのが大変だった。まず曲が多すぎない?楽曲をスッと消化できない。有名な曲ばかりが先走っている中に、その他の曲が散りばめらすぎているというか。物語の展開も起!転転転転転転転転転転転転!突然の結!!!!!みたいな印象ある。まあ人の人生だからな。

 

一日目、あまりにも分からなかった。ヴォルフが何をしたいのか、何から逃れたいのか、音楽をしたいのかしたくないのか、何もかもが理解できなかった。「ありのままの僕を愛してほしい」と言うけれど、「ありのままの僕」は酒飲んで博打して親に逆らって何もかも嫌だとばかり言ってるだけの男じゃないか…と思った。

 

これじゃだめだ、2回目の理解の助けになればいいなと思って、『僕こそ音楽』『影を逃れて』を訳したんだった。それからいろいろ動画を観たり、M!についてのブログ記事を探したりして、そのおかげか2回目は困惑を脇に置いて少しだけ楽な気持ちで観ることができたように思う。

 

ん~違うな。2回目で理解できたのではなく、2回目を観たことで「理解できないという状態を受け入れられた」と言った方が正しい。この作品で描かれるモーツァルトという人物を理解できないという気持ちは全く変わらない。一日目が終わった後はそこに焦りがあった。今は、仕方ないのかなと思える。

二幕でヴォルフが「僕の前に解けない難問が一つある」「愛も才能も名誉も試したけど、どれでもなかった」というその答えを、父親(の幻想?)が「それは“幸せ”だ」と言う。ああこの主人公は、幸せという答えを自分でも分からないままに、何が自分の幸せなのかをずっと分からないままに、もがき続けてきたのかとやっとそこで分かった。本人も分からないことをどうして私が分かるのか。ヴォルフが何をしたいのかなんて、私に分からなくて当然だった。

 

レオポルトがそこまで悪い親だとも思えなくて、それも混乱の要因だった。良い親だとも思わないけど。母親と一緒にパリに行ってしまった息子を思って「どうして(行かせることを)許してしまったんだろう」「そんな自分が許せない」とレオポルトが歌う場面が好きすぎて、レオポルトなりの息子への愛が強く伝わってきて苦しくなる。

レオポルトはずっと全てを分かっている。ヴォルフの未来を最初から知っていたみたいに。ザルツブルグを出たいんだと、自らの才能を信じ切っている息子に「権力を侮るな」と言うのはコロレドが何をするか気づいていたということだし、「謙虚にいろ」「興奮するな」「覚悟を決めて賢明な判断をしろ」と言い続けるのも息子の性格を分かりすぎていたから。振り返ってみれば、ヴォルフが子どもの頃にすでに「大人になれば平凡な作曲家に転落するだろう」「ずっと子どもでいてくれ」という願いを持っていたレオポルト。歴史が示すように、平凡な作曲家になったりはしないけれども。

 

もちろんヴォルフに対して、自分の夢を代わりに叶えてくれる「希望」だとも「家族が一つになれたら世界は私たちのもの」とも歌うように、レオポルトも、そしてナンネールもヴォルフの肩にいろいろ乗せすぎだとは思う。思うけど、現代ではないからな…働ける人が働いて家にお金を入れるという価値観が今よりずっと強かっただろうし、その中で抜群の才能(それはつまりお金を稼げる才能ということでもある)を持っている人間が家族にいれば当然というか…二人はヴォルフへ家のお金を全部注ぎ込んで貧乏になるのに。私はどうしても二人を責める気になれない。

 

だってヴォルフ、自分勝手すぎない?自由になりたいなりたいって言って、結局いつもコロレドにも父にも逆らってパリへもウィーンへも行くし、コンスタンツェとも結婚するし、そこで私は分からなくなってしまう。

でもレオポルトが死んだのを聞いてからの狂っていくような姿に、人間というものを見る気がする。自分は父の言うことを聞かなかった、でも父の言うことが結局正しかった、それなのに死んでしまった…という深い悔いと懺悔のような気持ちと、子どもの頃から「天才」とだけ扱われて演奏旅行に駆り出され、本当の自分を見てもらえなかったという親への強い怒りというか恨みのような気持ちの狭間で苦しんでいる。人間はいつだって矛盾した気持ちを抱えているんだ。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトという人物は、クラシックを聴くわけでもない私には特に馴染みがなさすぎて、教科書の上にしか存在しない人だった。歴史上の人物は遠すぎてえてして同じ人間であることを忘れてしまう時があって、彼に対してもそうだったけれど、モーツァルトも矛盾した気持ちを抱えて、苦しみを抑えつけながら生きていた一人の「人間」なんだなということ。

 

コロレドに見限られたことでもうその支配下にいなくていいんだと、「僕は自由だ!」と心から喜んで叫ぶのに、そこにスッと現れたアマデに気づいて『影を逃れて』を歌い始めるというのはどういうことなんだろう。そもそもアマデは何なの?ヴォルフの持つ才能の擬人化とも思うし、ヴォルフのそばにいつもいる「音楽」そのものかなとも思うし、幼い頃から背負わされてきた運命という影だとも思えるし、よく分からない。ああ分からない分からない、分からないことばかりで嫌になる。ストレスだ。彼が逃れたいと言う「運命」ってなんなんだろう。父親に背負わされた天才という道?宮廷楽師になること?それとも、音楽をすることそのもの?それらのどれでもあるのか、どれでもないのか…

すごくモヤモヤする。いい加減、ミュージカルの主人公が常に「正」でも「善」でもないことに気づかなければいけないと思うけれど、どうしても期待してしまう。分からないことがあるのも嫌だ。自分の読解力…観劇力?が低いのかなと思って落ち込んでしまう。人気の作品だと余計に。

 

コロレドの歌う『神よ、なぜ許される』という曲が好き。神に仕え続け(一方で権力と女!!!って感じもガンガンにするけどw)真面目に研究もしてきて「理性だけが最上の価値だと思っていた」コロレド。モーツァルトの音楽と出会って「守ってきた全てが崩れる」と言う。「信じがたい。魔法のような音楽の前で神の摂理が崩れるのは」「信じがたい。悪魔のような男が作り出す音楽に取り憑かれてしまうとは」

ああ、この人も「出会ってしまった」んだなと思う。人生を変える音楽に。今まで知らなかった世界への扉を開けてしまったんだ。心を揺さぶる衝撃と、その感覚、音楽の持つ力に出会ってしまった。私にとってはミュージカルそのものがそれだし、じょんや中川さんといった私の「天才」たちこそがそれだった。だから本当によく分かる。コロレドの気持ちが。「天才」とそこから生み出される音楽は、何度でも何度でも繰り返し魂が震えるような衝撃を与えてきてくれる。それがもっと欲しくて、もっともっと求めるようになることを「取り憑かれてしまった」と表現するコロレドのことをすごく理解できるよ。私にとっては「天才」たちこそが「神」だと思えても、神を信じ続けてきたコロレドにとっての「天才」はそれこそ「悪魔」のような存在なんだろう。

 

「天才」であるモーツァルトと、その真反対にいるようなコロレド。二人が衝突し続けるのは必然なんだ。そしてコロレドに強い共感を寄せる平凡な私には、「天才」の苦しみを理解できるようになる日は永遠に来ない。

魔笛で名誉を手にし、民衆のための音楽こそが自分の行く道だと決めたヴォルフを人々が持て囃す。「心の闇を浄化する音楽」「この世界を明るく照らす奇跡のモーツァルト」「この世の果てまでその光が永遠であれ」と人々は言う。歌われる歌詞はヴォルフに託された人々の希望を表しているのに、舞台は暗くて、中心でアマデとともに一人懸命に曲を書き続けるヴォルフはひどく苦しそう。予感していたように、ついにヴォルフはアマデという自らの才能に殺される。そして死んでからも音楽だけが舞台に残る。

「天才」を持ち上げ続けて、死なせてしまう民衆の姿が心に刺さった。寄せられる期待に応えようとする才能が、音楽が、運命がヴォルフを殺すということは、それらを介して「天才」を殺したのは民衆ということに他ならない。私はコロレドのような力はないし、ヴァルトシュテッテン男爵夫人みたいにパトロンになれるほどのお金もない。私は、あの民衆の中の一人だ。「天才」に重荷を乗せ、自分の闇を託し、光だけを望むあの中の一人だ。

「天才」ってなんなんだろう。怖いな。私の「天才」たち。じょんと中川さん。もう既に一人失った。それなのにまた中川さんの音楽に震えてしまう。だってあれを「才能」と言わずして、なんと言うだろう。努力してないなんて思ってるわけじゃない。ただ二人ともあまりに神に近くて、理解しえないどころか、理解しようとも思わない高みにいるから。ゾッとするくらいの体験をさせてくれるから。「天才」とか「才能」とかそんな言葉たちで括って処理しておかないと、怖くて触れられないんだ。

 

初めてM!を観ながら一番考えていたことはそんなことだった。「天才」に強く惹かれながら、一方で怖がっていないか。一方で自分とはかけ離れた別の存在だと思っていないか。「天才」を「才能」だけで見ていないか。一人の人間として見ているか。使い捨てにしなかったか?全てが終わってから、音楽をやめてもよかったのになんて私が言ってももう遅いんだ。

 

このミュージカルつらすぎてもう観られなくない?ウケる

 

 

いまいちよく分からなかったヴァルトシュテッテン男爵夫人という存在は、ヴォルフを中心に置いたら要するにコロレドの対極にいる人物ってことなのかなと書きながら気づいた。「天才」ではなく、コロレドと同じ側でコロレドが「黒」だとしたら夫人は「白」みたいな。だから、息子を束縛しようとするレオポルトを諭すけれど、二幕で苦しくなり始めたヴォルフを見てもずっと同じように「自立せよ」としか言い続けない。ヴォルフのことを本当に大事に思っているように見えるし、たぶんそれは彼女なりに事実なんだろうけど、結局夫人が惚れぬいたのはヴォルフではなく、ヴォルフの「才能」なんだ…

 

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ソヒョンさんの'황금별'は本当に本当に良かった。いろいろ分からなくてモヤモヤする点があっても、ソヒョンさんの歌う'황금별'が観られたから、もうこれでいいやって思えた。息子をウィーンには行かせないと言うレオポルトに「では一つ話を聞かせてあげましょう」と言って歌い始めるそのままに、背を向けるレオポルトの方を向いて、だんだんと顔が輝いていくヴォルフを見て、語りかけるように歌うその姿がとても暖かくて。Wキャストのもう一方のも観たけど、同じ場面、同じ歌なのに、ソヒョンさんの声にはなぜか涙が流れる。それはソヒョンさんの方が上手いとかいった理屈じゃなくて、歌詞が響くとかいった理由でもなくて、私はただソヒョンさんが好きなんだな………ということだった。それは感覚だとしか言えないけど、ソヒョンさんと私だけのものだし、これこそが紛れもなく出会いと呼べるものなんだ。


김소현 - 황금별 (뮤지컬 모차르트 中) [열린 음악회/Open Concert] 20200524

言葉の壁を超えるとはこういうことだと、暖かい光の前では国境なんてないんだと、直接教えてくれるソヒョンさん。大サビのぴんなぬんぱめで変調してくれないとやだし、最後のならおらをオクターブ上げてくれないと物足りなさ過ぎていやだいやだ!!ってしちゃう身体にされちゃった……

 

今回直接は会いに行けない分、観たら絶対ソヒョンさんに感想を伝えようっていうのは決めていて、昨日観てすぐにDMを送ったんだけど、そしたら夜中にお返事くださって………もうどうしたらいいんだろう。優しいとかいうレベルじゃなくない?

感想を伝えたかったし、日本にもソヒョンさんのファンがいるって伝えたかったし、M!ちゃんと観ましたって伝えたかったし、それが私にとってどんなに力になるか、どんな風に好きかを伝えたかった。とは言うものの、DM送ったというよりは送りつけたって感じだし本当にただの自己満足で、そもそもたくさんフォロワーがいるのにDMなんていちいち見てるかも分からなかったし、お返事を頂けるなんて思ってなかったから………………ドキドキしすぎてしばらく開けなかった。開いたら魔法が解けてしまいそうで。嘘になりそうで。ただもしも気づいてくれたら読んでくれたらいいな、ちょっとでもそれがソヒョンさんのパワーになったらそれは本当に嬉しいな、そう思っただけだったから。夜中にわざわざお返事くださったのがもはや申し訳なさすぎて、「お返事いりません」って書くべきだったかな、でもそれはそれで失礼だよなとか、いやそもそもDMを送りつけることがもうとんでもなく失礼なのでは?!とかぐるぐるぐるぐる考えちゃった。

いっぱいの絵文字とカラフルなハートがたくさんついていたソヒョンさんからのお返事。「日本からも来てほしい」だけではなくて、「私も日本に行きたい」と言ってくださるのが本当に感動するところ。今までMAの時に頂いたコメントお返事のスクショを見て力を貰ってきたように、これからまた会える日までまた何度もこのスクショを見返しながら、'꼭 빨리 만나요'という一文を胸に抱いて過ごすんだろうな。大好き。いつか絶対直接お手紙渡すんだ。

 

 


[#리플레이모차르트!] 시츠프로브 LIVE ♬ '모차르트는 왔나' 민영기, 박은태, 윤영석, 이상준

そんであのさあ!!!!!!このヨンギさんかっこよすぎて怒ってるんだけど!!!!!!!!!!!

マジでかっこいい………本当にかっこよくて変な笑い出ちゃう…………真顔で音楽にノッて煽るところとかほんとかっこよくて笑っちゃう………後ろでアンサンブルの男性の方が「やべえw」みたいな感じでもうワクワクが抑えられませんって顔してるのすっごく分かる。MAのオルレアンの時はWだったジュニョンさんのハイトーンに(私の心が)持ってかれちゃってたんだけど、やっぱりヨンギさんも最高に声が良くて最高に歌が上手い。

このロックっぽいイントロでせり上がりながら登場するコロレドがかっこよすぎて、上でなんだかんだ理屈をこね回したものの、結局はその一瞬でコロレドに心掴まれちゃっただけです。

もちろんジュノさんもかっこいいんだわ!!!!!!!!!!!!


[#리플레이모차르트!] 시츠프로브 LIVE ♬ '어떻게 이런 일이' 손준호

何度見ても最後に思わずガッツポーズをしてしまう、ジュノさんの『神よ、なぜ許される』。MAの時はジュノさんは観られなかったから今回観られて嬉しいな。端正なお顔はもちろん、背は高いし、声はいいし、声量半端ないし…生で観たい!ってなる。すごそう。一瞬で恋に落ちそう。

ジュノさんのコロレドの方がなんとなく真面目なイメージ。甘いマスクなので一見ジュノさんの方が色男っぽいんだけど、ヨンギさんのコロレドの方がめちゃくちゃ女はべらしてそうだし、はべらしていてほしい…どっちも好き。選べない~~~

 

コロレドのトイレシーンは何なんですかね?ヨンギコロレドが「一週間ぶりだ」って言ってたんだけど便秘なのかな…かわいそう。つらいもんね、便秘。

 

そしてキャスケをちゃんと確認していなくて、終わってから実はヨンジさんだったことに気づいた11日のコンスタンツェ。本当に全然気づかなくて、正直今でもヨンジさんだった…?って疑ってるくらい。マルグリッドの時とは時代も身分も違うし、今回は確かにお衣装も綺麗なものを着ていたけど、それでもこんなに分からないくらい違ったからやっぱり俳優さんってすごいなあ。


[#리플레이모차르트!] 시츠프로브 LIVE ♬ '난 예술가의 아내라' 김연지

去年のMAがミュージカルデビューだったのに、こうやって10周年という特別な記念の意味があるM!に呼ばれたってことは、MAでの活躍が正当に評価されたってことなんだな…そんなヨンジさんの歌う『私は芸術家の妻だから』。

私はやっぱりどうしたってパワーボーカルが好きで好きでたまらなくて、もう本当にそれだけでワクワクしちゃうんだけど、韓ミュはみんな、本当にみんながパワーボーカルだからすごい。日本だと一つの演目で一人いるくらいな印象かな…

 

まあだからソニンちゃんが好きなんですけど。


ソニン ダンスはやめられない モーツァルト

同じ曲から訳詞を作っているはずなのに、「私は芸術家の妻だから」と言ってそれがそのままタイトルになる韓国と、「夫は芸術家なの」と言わせる日本。全然違う。

コンスタンツェの悪妻説は有名だけど、このミュージカルではどちらとも取れるように描かれてると思う。でも結局彼女が悪妻だったのかそうじゃないのかということよりも、家事をしないで遊んでいたとか、夫の死後に再婚したとか、それで「悪妻」だと勝手なレッテルを女に貼りつけるこの世界がクソッたれ!だと思う。

 

楽しみにしていたガンヒョンさんのモーツァルトは、演技が細かくてすごかったしところどころ可笑しくて可愛らしくて笑っちゃってたw最初にナンネールとふざけ合う姿は、ああこれがヴォルフの本当の姿なんだな、こうやってふざけたりするのが好きなんだなと感じられた。アロイジアを見て恋しちゃうところも面白かった。あそこでめっちゃくちゃ嫌な顔してるアマデがかわいいwwコンスタンツェに「確かにあなたはお金はないけど」って言われた時も「そうだっけ?」とばかりにポケットをまさぐって一応確認してみるガンチャルトw


[뮤지컬 모차르트!] 박강현 '내 운명 피하고 싶어' MV

ウンチャルトとは全然違うなと思ったんだけど、ウンテさんの時は本当に字幕を追うのが大変であまり見られてなかったんだよね…あとカメラワークがガンチャルトの日の方が良かった。一つだけ覚えてるのは、ナンネールからお金を返してって言われた時のこと。ウンチャルトはもうどうしよう大変だ!早く送らなきゃ!って今にも泣きそうな顔でお金を用意するのに対して、ガンチャルトはこれを送ってあげよう!ヌナが愛する人と幸せになれるように!ってにっこりとお金にキスをする。

 

結局、この作品を好きになれるかというのはここに描かれるモーツァルトという人物を好きになれるかどうかということで、ガンヒョンさんのモーツァルトからは父親にありのままを愛されない悲しさも、音楽への愛憎から来る苦しみもすごくすごくすごく伝わってきたけれど、全然ピンとこないからたぶん単純に私とモーツァルトの相性が悪いみたい。

欠点がどんなにあっても好きでたまらなかったりするし、よく理解できない人だと思いながらも恋に落ちてしまったりするけど、もしかしたらその好きになれる最後の何かを支えてくれるのは、それこそが言語なのかなと思った。そうだとしたらとても悔しいけど。


僕こそ音楽 『モーツァルト!』より / 中川晃教

3日間向き合い続けても理解が出来なかったこの曲、これを見たら一瞬で理解できちゃった。「バカ騒ぎが大好き」「無礼者だと言われても退屈はぶっ飛ばしたい」中川さんが日本語で歌えば、こんなにもそれを認められる。むしろそういう点こそを私は愛して愛して、中川ヴォルフに恋をしてどうしようもなくなるだろうと思う。

 

たぶん中川さんが今更またM!に出演することはないだろう。そうならそれが私とこの作品の縁だから、仕方ない。

 

本当にミュージカルというものはいつだっていろいろな自分を引き出されて、たくさんたくさん考えて、心が無防備になる気がするな。良い意味でも悪い意味でも。

 

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またソヒョンさんのおかげで特別な観劇体験となりました。

こうやってソヒョンさんを中心にして、世界がどんどん広がっていくことが嬉しいんだ。