ザッピング

チャンネルはころころ変わる

また、ジョンヒョンへ

 

12月18日月曜日。

なんだかこの日は眠くて、学校がないことをいいことに寝て起きてはダラダラと過ごしていた。何度目かに目が覚めた21時ごろ、ラインが2件入っていた。初めに開いたラインには友人から「ゆうちゃん…」とだけ。私はてっきりその友人に何かあったのだと思って「どうした~?」と返した。今思えばひどく呑気な返事をしたものだ。もう一通もまた別の友人からで「ジョンヒョンのこと本当?」と。なんだ?と思った。スキャンダルか?やっちまったか??と思った。ツイッターを見て事実が目に入ってくるまですぐだった。

 

本当にいないのだろうか。そればかり考えている。もともときみはアイドルで芸能人で違う国の人で、普段から画面の向こうにいるものだから、どうにも本当にいないということがよくわからない。遺影の笑顔もまるでアー写のようで現実味が薄い。

 

ナインさんが公開してくださった遺書を読んで、最初に思ったことは「すごい文章を書くなあ」ということで。こんな時まで詩的で美しく繊細な単語を連ねるきみに私はずっと衝撃を受けてきた。

 

viewが好きだった。viewから好きになった。

メロディーはもちろんだけど、その歌詞の美しさにショックを受けたのを今でも覚えている。あんな詩を書ける人を、少なくとも私は、他に知らない。

 

それからきみの作る音楽の虜になった。楽しかった。まだ小品集が出る前で、ラジオで発表された音源を音源サイトで一つ一つ集めて出会っていく作業は本当に楽しかった。音盤化された小品集が手元に届いた日は文字通り抱きしめた。宝物だと思った。ちなみに小品集としてアレンジされた曲よりも、ラジオで発表された時のオリジナル音源の方が好きだったのは言ったっけ?

 

きみに初めて会うために私は神戸まで行ったんだ。一人で。

なのに牡蠣に当たったんだって。公演には出ないって言うんだ。そのアナウンスが出されたのは会場に並んでいる時間で、フラフラしながらスマホをかざしたのを覚えてるよ。帰ろうかなとすら思った。しかも、席がアリーナだった。passwordで箱から出てくる4人がすごく近く見えたよ。涙の向こうにね。いつか笑い話になるだろうとあの時願ったように、今では立派な笑い話だ。

 

きみはいつもかっこよくて、本当にかっこよくて、みんながきみのことかわいいって言う時も、私にとっては「かっこいいジョンヒョン」をそんなふうに言ってほしくなくてそれがちょっと嫌だった時期もあったな。すきですきでたまらなくて、考えるだけで胸がいっぱいになる日もあった。それでも正直言って私は一筋ではなかったし、他のアイドルも好きだけど、でもきみがいつもいてくれたから安心してふらふらできた。きみは港のようで、ライブに行って歌声を聴くと「ああこの声を聴くために生きているなあ」って大袈裟じゃなく思ったし、こうやって定期的にライブに行って「すきだな」ってその度に実感できたら幸せだなって考えていたんだ。

 

私はこれからどうするのかな。アイドルを好きでいるのかな。好きでいていいのかな。

きみはいつからあんな苦しい思いをしていたんだろう。私はその間も呑気に「かっこいい」とか「好き」とか思って見ていたんだ。何も知らずに、気づこうとせずにライブやペンミに行っていたんだ。バカみたいじゃないか?

 

エレベーターって曲があるね。とても正直に言って私はあの曲が苦手で、暗い曲は好きだけど、あの曲はあまりにも暗く鬱々としていて、アイドルの、ジョンヒョンのそんな内面に触れたくない私はあの曲だけはきちんと聴こうとしなかった。

 

今になって、私がきみをどんなに好きだったかを伝えに行けばよかったなと思う。お金がないとか、学生だからとかじゃなくて、単純に好きなんだからそれを言いに行けばよかった。そのままのきみと、きみの作る音楽がすきだよって。一ファンにすぎない私がそれを伝えたところで未来が変わっていたとは思わないし、もしかしたら更に追いつめていたかもしれないけど、それでも伝えればよかった。

 

ごめんねジョンヒョン。まっすぐにきみを見ていなくて、見たいところだけ見ていて。きみは「笑えなくても責めながら送り出さないで」「ただお疲れさまと言って」と言っているのに、素直にそれができなくて。本当に本当に申し訳ない。ごめんなさい。

 

こわい。きみがいたことを過去にしたくないのに、またこうやって夜が来て朝が来て、この痛みがどんどん薄れていくのがこわい。こういうブログを書くことで人からどう思われるのかもこわい。この傷を治したくない。行かないでほしい。消えないで。置いていかないで。

 

でも受け止めたい気持ちも本当で。生きていかなければならないと思っている。ちゃんと向き合いたい。今になってだね。遅すぎるね。ごめんね。

 

いつかアイドルを追わなくなって、きみの人生の行方もいろんな情報に紛れてわからなくなって、おばあちゃんになった私はふと「そういえばあの人はどうしているかな」なんて思い返すと思っていたんだ。こんな終わりは考えていなかった。

これからの私の人生にあるはずだった一つの光を永遠に失ってしまった。まだ驚いている。

 

すきだよ。すきだよ。わかる?届いてた?シャヲルのこと好きだった?少しでも救いになってた?今はもう苦しくない?これからもずっとそばにいてもいいかな。一緒にいたいよ。一人にしたくなかった。ごめん。すきだよ。