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今更ながら、東宝版「1789‐バスティーユの恋人たち‐」を観た話

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来たぜ!!!!!

 

初めての帝劇。それだけでドキドキでした。

 

この「1789」は去年の月組公演観てから、本当に本当に大好きな作品。だからもうずーっと楽しみにしてました。念願叶ったり(T_T)

宝塚版に比べて曲が削られたり追加されたり、演出も変わったりというレポを目にしていて、正直ちょっと不安だった。けども!全体としては大満足で帰ってきました。曲もストーリーも、そこに込められたメッセージ性も、やっぱりすごく好きだなあと。

私はミュージカルファンではなくあくまで宝塚ファンのため、たまに外部観に行くと「舞台に男がいる…」って違和感であんまり集中できなくなっちゃうんだけど、そういうのもなかった(笑)

 

雑感をば。

 

キャラクター・出演者について

ちなみに私が観た5月9日昼公演の役替わりはこちら。

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花總まりさん。

お花様を生で観るのは初めて。なんだろう…私、ちゃぴ(愛希れいかさん)の演じたアントワネットが大好きだったんですよ。元々、歴史上で一番好きな人物は誰?って聞かれたら「マリー・アントワネット」って答えるくらいにはまずこの人物自体が好きで。あ、でもクレオパトラも好きだな…まあいいや……。

伝記マンガって誰でも読んだことあると思うんだけど、小学生の時に本屋で手に取ったマリー・アントワネットのマンガの背表紙には「革命に散った悲劇の王妃」って書かれていた(ちなみに当時の私は「革命」がわからなくて、父親に革命ってなに?って聞いたんだけど、「読んだらわかるよ」としか答えてくれなかった…読んでも小学生には結局「革命」が何なのかよくわからなかったよ父ちゃん…)(すごいどうでもいい話)。何が言いたいかと言うと、まさにアントワネットは「悲劇の王妃」「悲劇の人物」だと思っていて、どうしても肩入れしてしまう。栄華と絶大な権威を誇っていたハプスブルク家の女帝マリア・テレジアの末娘として生まれ、何人もの姉や兄にかわいがられ甘やかされ、自分の意思もないままに外国の王家に嫁がされた彼女…誰だってこの立場なら、節制しようとかまずそういう考えもないでしょう。実際に王家の財政を圧迫させたのは、度重なる戦争やルイ14世時代からの贅沢が理由で、たまたまその時期に王妃だった彼女が民衆の敵意の対象になりやすかっただけ。

嵐のような運命に抗うこともできないまま巻き込まれていく、そしてその中でもフランス王妃としての気品やプライドを随所に垣間見せる、ちゃぴの演じたマリーはそんな人物だった。あの時本当にちゃぴに毎回ぞくぞくしたし、宝塚の「トップ娘役」がどれだけすごいかわかったんだよね…。あの滲み出る気品は、トップ娘役だからこそのものだった。美しかった。大好きだった。

前置きが長くなってしまった。

お花様の演じるマリーは、どうしても「軽い」という印象が拭えなかったです。最初から最後まで。「神様の裁き」のところで変わるのかな?と思ったけど、そんなこともなく。可憐で少女のようなマリーだった。だからもしかしたらこっちの方が実際のマリーには近いのかもなあ…と思ったり。最後まで「自分は悪くない」と信じて疑わない。オランプに対してもどこか一線を引いていて、彼女が自分を慕っているのはわかっているけど、あくまで「仕えられる者」と「仕える者」以上の心の交流をしようという考えはない。(あとセリフ回しが早口で気になる…高貴な身分の人間はゆったり喋ると思うの。。)

だから個人的には、恋に胸を高鳴らせ、子供の死を悲しみ、王妃として妻として母として目覚めていく、その一つ一つに正面から向き合っていたちゃぴトワネットが好きだなあ、やっぱり。日本初演のマリー・アントワネットを演じたちゃぴ凄まじいよ…。

 

夢咲ねねさん。

これまた初めてのねねちゃん!ねねオランプよかった!お芝居上手い。オランプは王妃様のことをとても慕っているのだなあということが伝わってきました。宝塚版観てる時はあまり考えてなかったけど、こんなにお慕い申していた王妃様のいる王家に対して、結果的にはひきがねを引く側の人間になるわけで…その時のオランプの心境はどんなだったんだろう。そういうところ考えると想像が膨らむ。ロナンもいなくなっちゃって、その後幸せに生きたのかな?とか…。

娘役としてのねねちゃんも見てみたかったなあ~。

 

ソニンちゃん!

ソニンちゃんのソレーヌなくしては語れない…!すごかった、本当にすごかった。歌上手いのはわかっていたけど、ソレーヌという役どころと相まってかなりの迫力でかっこよすぎた。「夜のプリンセス」もそうだし、「世界を我が手に」がもう…!宝塚版では革命家3人衆が歌う「世界を我らに」を完全なるソレーヌバージョンとして歌詞を書き換えたのかな?こっちの方が好き!かっこいい女の人大好き!「女は世界を手に入れる日を夢見る」とか、「女は新しい命を生み出す、次の時代を担う命を」とか。うろ覚えだけど。すーごいかっこよかった。すごかった。すごかったしか言えない。

実は革命家3人衆とロナン役の加藤さんの4人でアフタートークショーがあったのだけど、みなさんもソニンちゃんのこの場面かっこいいよね!と話しておりました。「男なんてなんにもできないもん!」ってデムーラン役の渡辺さんがおっしゃってたww

 

加藤和樹さん。

ミュージカル俳優さんのことは全くわからないから、純粋に受けた印象だけど、たぶん加藤さんはすごく真面目な方なんだろうなあと。パンフレット読んでもそうだし、アフタートーク聞いてもそうだし(ていうか、アフタートークって主役自らMCするものなの?w)。その真面目な雰囲気が出ているロナンだった。真咲さんはもっと良い意味で軽くて、「向こう見ず」なロナンだった。どちらにもそれぞれの良さがあると思う。

 

革命家3人衆。

あのね…ダントン役の方がかっこよくてね……ははは。元々コマさん(沙央くらまさん)演じるダントンは好きだったんですよ。だから「パレ・ロワイヤル」でダントン出てきた時、「そうそう!これだよ!!」って嬉しくなって、見てたら相変わらずちゃらいwwwすきwwwwってなるじゃないですか。でももっとよく見たらなんかかっこいいの…なにあれ…。幕間、パンフレット買いに走ったよね。開演前は(2200円?!たかい!買わない!)とか思ってたのに。ずるい。

上原理生さん(*´∀`*)覚えた(*´∀`*)熱いダントン様でした…ちゃらくてちょっとコミカルな場面もある一方で、ロナンがロベスピエールたちに反抗した時に「ロナン、やめるんだ」と止めるような思慮深さや、ソレーヌを大切にする一途なところがあったりと、魅力的な人物。どうかダントンとソレーヌが幸せでありますように。ていうかつきあえよ(つきあってる)。

ロベスピエール役の古川雄大さんは、なんといってもソロ曲「誰の為に踊らされているのか?」がとってもよかった。変な言い方だけど、裏声になる部分がちょっとセクシーで怪しくて、その歌声の中にこの後恐怖政治を行う彼の危なさの片鱗が見えた。珠城りょうさんのロベスピエールは真面目で革命への熱い思いを持った人物だったから、どうしてもこの後恐怖政治をするような人物には思えなかったんだよね。

デムーラン役の渡辺大輔さん。アフタートークで冗談ばっかり言って古川さんにつっこまれて笑いをとっていたイメージが強いのですがwwカチャ(凪七瑠海さん)のデムーランもそうだったけど、渡辺さんのデムーランも優しい人物だったのだろうなあという印象。その優しさがきっと、つらい生活をしている庶民を救いたいという原動力になったのではないかな。だからパンフレットに妻リュシルとともにギロチンに送られたって書いてあってショックだよ…。しかも送ったのはロベスピエール…。

この後この3人に何があったんだろうね本当に…アフタートークでも「この後仲悪くなっちゃうもんね~」って話をされてました。ちなみに最近このアフタートークメンバーでお肉食べに行ったらしいw古川さんが「ステーキの食べ放題行きたい」って発案して、上原さんがお店調べて、加藤さんがお金出して、渡辺さんは「こいつだけ何にもしてないんですよ~」って古川さんにいじられていたwww仲良しかwww

 

ポリニャック夫人は宝塚版より冷たくて利己的な印象。むしろ宝塚でのすーさんのポリニャックがちょっと違和感だったんだよね。「あれ?こんないい人だっけ?」と。それに比べたら飯野さんのポリニャックは王妃に協力するというよりは、媚を売ってる感じ。亡命していいのよと言われた時の「フランスに秩序が戻れば、帰ってきます。それまで王妃様、お元気で」というセリフも心こもってない!!保身の人物なんだろうなあ。こちらの方が正しい解釈なんだろうけど、私はあのアントワネットの力になろうとするすーさんのポリニャック好きだった。

ネッケルもお堅い人物だった。年も少しいっていて、王家の力になりたいというよりはこのままじゃやばいからどうにかしないとという信念が見える。

対するルイ16世。なんなのこの人。どうしてこんなに愚かなの?ただ軍隊を使って暴力を振るいたいだけのペイロール、革命を起こして王座を狙う実弟アルトワ、その2人の思惑も見抜けずぬけぬけと思い通りになる国王。あほか!!「私は国民を愛してる」って言いながら、いやその言葉は決して嘘じゃなく本心なのだろうけど、結局軍隊で鎮圧する方法を選ぶのは自分の地位が一番大事で、王権はあくまで当たり前のものだと考えていたんだろうなあ。王権神授説とかいう単語、久々に思い出した(笑)まあ狩りと錠前作りを愛する、素直な「良い人」だったのでしょうね。人の上に立つ器はなかった、それだけ。

美弥るりかさんファンの私はアルトワがいろんな意味で楽しみでしたww催眠術使うの新しかったwwアルトワ役の吉野さんは、るりかさんのお芝居を参考にされたりしたのかしら…どう感じたのか知りたいー!!「私は神だ」のイントロでもうニヤニヤしてしまった。「このフランスでブルボンの血を引く者は…神と同じなのだ!」そうですおっしゃる通りですー!!!

ラマール、すっごく面白かった~コミカルで笑いをとる役どころ大事だね。最初オカマの姿で出てきた時はなんだこれってなったけどwwアルトワの催眠術にかかりやすかったり、わかりやすくオランプが好きだったり、憎めないキャラでしたww

 

 

 

…えーと、観劇後にここまで書いたまま、一ヶ月ずっと下書きにしまってありました。本当はこれに加えて演出面での感想とか書きたいことたくさんあったし、ダンソレ最高だな!!とか新曲めっちゃいい!!!とか、でもなんで「声なき言葉」歌わないの!!!とかいろいろ言いたいこともあったんですが、もう悲しいことに記憶も曖昧なのでとりあえずこの状態で今更ながら記事をあげます。

 

去年11月のパリでのテロ事件を受けてからだと、また印象も変わりますね。ロナンが願った「愛と平和に満ちた世界」にはまだ辿りついていないんだなあ…と。200年以上も経つのに。

 

とりあえず「1789」はこれまでもこれからも私の中で一番大好きなミュージカルだろうと思います。東宝さん、CDかDVD出してえええええええええええ!!!!