ザッピング

チャンネルはころころ変わる

半年

 

半年が経ってしまった。
就活が始まり、日々はそれなりに忙しく、レッベルは初めての日本ツアーを敢行し、観に行くたびにますます好きになったし、その一方でバンタンの音楽は私の日常に欠かせないものとなった。

そんな半年だった。

 

そして私は、SHINeeの新曲が聞けないでいる。

 

最初にティーザーが公開された時はそれなりに楽しみにしていたし、再びステージに立つことを決めた4人をすごいなって思ったのも嘘じゃない。

でもMVが公開となった日、突然、ああ見れないわと気づいたんだった。

 

あれはSHINeeなのだろうか。4人でもSHINeeなのだろうか。

誰がどう言っても、私にとってのSHINeeはジョンヒョンのいるSHINeeだったし、SHINeeはジョンヒョンがいるからSHINeeで、だからこそ私はSHINeeが好きだった。

決して4人を否定したいわけではないんだけど、私にとってのSHINeeはこれからずっと完成することはなくて、ジョンヒョンを失うってことは私はSHINeeも失ったってことなんだなってどうしても考えてしまう。

 

今はもう、正直ジョンヒョンが好きかもわからなくて、SHINeeが好きかもわからなくて、そこから目を背けるためでもなんでもいいけど、ずっとずっとバンタンが好きだし、レッベルしかいないなって思う。

だって生きてるから。

 

 

生きてる時のジョンヒョンが大好きだった。

今もジョンヒョンが大好きだと、どうも私には言えないみたいだ。ただ、生きている時のジョンヒョンが、当時の私は大好きだったと、それだけしか言えない。今はちょっと分からない。

ジョンヒョンの時間が永遠に止まったように、私の彼への気持ちも止まってしまったのかもしれない。そして、ジョンヒョンはそれを自分で止めたんだ。何の前触れもなく。私にとってはそれが全てだ。

 

例えば事故だったら?

ジョンヒョンは生きていたかったはずなのに、無残にもそれを奪われたんだって確信できたら?

 

そしたらきっと、私の気持ちも違っていたかもしれないな。

でもそうじゃないじゃない。ジョンヒョンは自分で命を絶つことを決めた。音楽も、メンバーも、ファンも、私も、全部を置いて行くことを決めたのは、運命でも神でもなくて、ジョンヒョンだから。

 

あの遺書から感じた絶望が忘れられない。

ジョンヒョンに関して私が知り得る最新の情報は、この先永遠にあの絶望となった。「ただお疲れ様とだけ言って」と、それだけ遺して全てを置いて行くことを決めたジョンヒョンが、4人の側にいて見守っているだろうとか、カムバするSHINeeを誇らしく思っているだろうなんて、どうして言える?

 

たぶん、突き詰めれば、私は、4人にもズタズタになってほしかったんだと思う。

もう活動なんてできません、ドームなんて立てません、新曲なんてとんでもないです、そう言って姿を消して、まるでSHINeeなんて最初からなかったかのように、そんなふうになってくれたら、私はどれだけ楽だっただろう。

ジョンヒョンがいないSHINeeを見せられることもなく、推しが自殺したわけではないシャヲルたちのツイートを見せつけられることもない。そうだったら、私はどれだけ楽だっただろう。

 

やたらと活動が頻繁になったように感じられるファンクラブも、未開封のまま本棚に直行される会報も、全部全部なかったらいいのにな。

 

結局私は私が一番かわいそうで、あんなにジョンヒョンが好きだったのに、それも知らずに置いて行かれたと思っている。被害妄想みたいに4人やファンクラブを責めたくなるのは、めそめそと悲しみに浸っている方がずっと簡単だからで、誰よりもショックだったはずなのに立ち上がる選択をしたメンバーや、同じ立場なのにそれを応援できるシャヲルの方が、勇気があって難しいことだってわかってるからなんだ。

 

本当は私だってそうなりたいんだよ。だいすきだよって暖かい気持ちでじょんを思い浮かべたいし、SHINeeに対しては最高だなってまたトキメキを抱きたい。

でも、どうして逝ってしまったのっていう思いが、まだまだ私の中から抜けない以上、恋や愛のような気持ちで彼と彼をめぐるものを包むのはとても難しいんだ。